ヤンデレくんとツンデレちゃん


「ピンク色のうさぎ柄の浴衣着て。元気よく金魚すくいしてる子がいたんだよね」

「……え?」

「誰よりも張り切ってて、上手くて。子供のボクは一瞬で目を奪われた。一目惚れだった」

「…………」

「名前聞いたらなんて言ったと思う?」

「待って。それって……」

「その子は一匹もとれないボクにこう言ったんだ。『ただのイケメンには興味ない』って」


ねえ。待って。


「そのときボク思ったんだ。ああ、ボクはただのイケメンだったんだ。それじゃダメだって」


なに覚醒してるの?


「梁ちゃん忘れちゃった?」

「……忘れ、てた」


今の今まで。


「思い出した?」

「え……いや、なんとなくしか」

「あのとき会ったのボクだよ」

「嘘でしょ?」

「ホント」

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