ヤンデレくんとツンデレちゃん


「愛……あたしのこと、知ってたの?」

「うん」

「だから入学式からしつこく……」

「違うよ梁ちゃん」

「え?」

「“入学する前から”」

「……!?」

「ずっと見てた。ずっと想ってた。だから、入学した。あの高校に」

「は……」

「なんとしても梁ちゃんを幸せにしたいと思った」

「ぶっとびすぎ」

「君がご両親を失ったことも。ボクは知ってた」


――!!


「君のご両親の葬儀に顔を出した」

「え……?」

「あのときお祖母様に初めてご挨拶した。快くお線香をあげさせてくれた」

「…………」

「あの頃からだよね。梁ちゃんから笑顔が減ったのは。あんなに明るかった梁ちゃんが、心を閉ざしたのは」

「…………」

「君のこと知れば知るほど、ボクは君が好きになったんだ。君をまた笑顔にするためならなんだってできると思った」
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