ヤンデレくんとツンデレちゃん


あたしはきっと、

これからもこいつにペースを乱され続けるのだろう。


「結局これだけしか連れて帰れなかったね」


袋の中に泳ぐ数匹の金魚を眺めながら歩く愛。


「十分だよ」

「途中で止められるし」

「ほんとに水槽の中が空になる勢いで捕まえてたもんね」

「イケメンだった?」

「引いたわ」

「ええっ……そんなぁ。梁ちゃんに胸キュンしてもらいたくて……捕まえてたのに。全部捕まえたかったなぁ?」

「いいよもう、そういうの」

「……!」

「おバカなフリしなくても。大丈夫だから」

「梁ちゃん……」

「ちゃんと笑うし。言いたいことは言うし。前だって、向いて歩くから」
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