ヤンデレくんとツンデレちゃん


 *


「本読み、梁ちゃん当たらないかなー」

「えぇ?」

「梁ちゃんの本読みは、子守唄のように心地良いから。ボクにやすらぎを与えてくれるんだ。気持ちいい気分になれる」

「……ぜっったいに、読みたくない」

「梁ちゃん当たりそうな気がするなぁ」

「予言するな」


嫌だよ本読みなんて、面倒くさい。

どうか当たりませんように。


「録音したいな。毎晩、眠る前に聞きたい。あ、でも生の方がいいや。今夜電話するね」

「着拒します」

「だーめ。朝まで繋いでおいて?」

「なんでそんな長電話しなきゃないの」

「すぐに寝てくれていいよ?」

「は?」

「梁ちゃん寝てる間、寝息堪能してるから」


やっぱり最低だこの人。


「ねえねえ梁ちゃん」

「静かにして」

「今朝どんな夢みた?」


あんたマジで人の話聞けないな?


「急にそんなこと言われても覚えてない」

「ボクのみた夢の話、聞きたい?」

「静かにしてってば」

「メダカが出てきてさぁ」


静かにしろと言ってるだろうが。
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