ヤンデレくんとツンデレちゃん



 ◆


「あんまりしつこいと嫌われるよ」

「!」

「板野さんイヤがってるの、わかる?」


眼鏡くんこと御影 光(みかげ こう)


スタイリッシュな眼鏡の奥から、

ナイフのように鋭い視線が愛に向けられる。


梁に話しかけたときよりずっと低いトーンで愛に話しかけている。


そこに、優等生の影はない。


「やだなぁ。梁ちゃんは、喜んでいるよ?」

「どこが。ドン引きしてるだろ」

「……ボクと梁ちゃんの大切な時間をキミに邪魔されて気分悪いんだけど」

「こっちの台詞。お前、普通じゃないよ」


火花を散らす、2人。

そんなことに誰も気づいてはいない。


静かに会話は続けられる。


「……キミ、ただの地味眼鏡じゃないんだ?」

「さぁ」

「梁ちゃん狙ってんの?」

「そうだって言ったら。どうする?」


教室の一角で、男子生徒2人が自分を巡って睨み合っていることなど、梁は知る由もない。

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