彼氏じゃないからできた
逢いたい。


愛してる。


見つめてる。などなど……


ラジオが実社会にいたら若干ストーカーくさい歌詞が多いラブソングをかけた時に、わたしは彼に、軽くキスをした。


すると今度は彼のほうからわたしにキスをしてくる。


彼が舌を入れてきて、わたしがそれを受け入れる。


彼の唾液からタバコの香りを感じ取り、わたしは彼が禁煙を止めたことを知った。


でもこの夜にタバコの香りはとてもよく似合っていた。


赤信号が青信号に変わっても、わたしたちはキスを繰り返していた。


気がつくと、ラジオはまったく違う曲を流していた。


「わたしたち……付き合ってないのにね」


彼の目の奥を見つめながら、無邪気にわたしは言った。










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