彼氏じゃないからできた
ここで彼は、水の残りを一気に飲み干した。


そして、真剣な目つきになって、わたしを見つめる。


「なあ……サエは今、俺といて楽しいか?」

「んー? そうだね、こんなにエロい気分になったのはひさびさだし……楽しいよ」

「おまえさっき、『付き合ってないのに』って言ったよな。俺は、またおまえと二人で……」

「ねえ」


わたしは雰囲気に酔った勢いで、彼の耳朶を軽く噛むと、甘いトーンでこう言った。


「また、タバコの味がする、キスしてよ」


彼はそれでスイッチが入ったようだった。気がつくとまた、心地よい力に押さえつけられて、わたしはベッドの上にいた。


夜が更けていく――





< 7 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop