千秋先輩。その鈍感、本気ですか?
誰もいない視聴覚室を後にしようとする千秋先輩に声を投げる。

先輩は、こうなったら意地なのかこっちを見てくれない。


「……先輩は、この荷物重いですか?」

返事は無い。


「私は…1人でも持てるなって、思いました…」



先輩はやっと振り返って私の頭を撫でる。
「…最近一緒に練習出来てなかったし。俺が久々に話せて嬉しかっただけ!手伝ってくれてありがとな!戻るぞ!!」

…で、また、そういう100%キラキラの笑顔で済ませちゃうんだ。
恋愛っ気無さそうな良い笑顔しちゃってさ。
早歩きでまた何事も無かったみたいになっちゃうんだ。ふーん…それって…それって…
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