千秋先輩。その鈍感、本気ですか?
一瞬で、血の気が冷めていくのが分かる。


目の前で寝ている姫。



どう見ても輝じゃない。



なんだかやたら綺麗だけどゴツい……

……って、今はそれどころじゃない!!!!!

『おお姫!!なんと美しいんだ!その髪はまるでシルクの様、その唇はまるで花びらの様ではないか!何とかしてこの美しい姫の呪いを解いて見せたいものだ。………どうか、姫の眠りが目覚めますように………』

スッと、姫ーもとい、なぜか輝の衣装を着た千秋先輩に顔を近づける。


(台本ならここで幕が一旦閉じる!!!!!)


ウィーーンと幕が閉じる電子音が鳴る。
この1秒ですら重くて恥ずかしくて、どうしようもない。

早く閉まって幕!!!!!!!!!!!!!
目を開けるタイミングさえもわからない。

暗転した、まさにその瞬間だった。


一瞬触れた、柔らかい何か。
驚いて目を開けると、キョトンとした顔の先輩。


「暗転したぞ。ほら急ぐ!!!」

「へ……?」


今、何が起きた!?!?
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