千秋先輩。その鈍感、本気ですか?
「ここでいい?」




愛海ちゃんが階段で立ち止まる。





「愛海ちゃんが良いならいいけど…
あやに聞かれるかもよ?」




ぎょっとする。

やっぱり私に聞かれちゃまずい話なんだ!

さすがにこれは戻ろう…




ばちっ




愛海ちゃんと目が合う。

愛海ちゃんは私に向かって口をぱくぱくさせてる。




"ここにいて"?




輝にバレないように壁に隠れる。


「…あやに告白した」




輝が突然小さな声で言った。何を言い出すの!?





「そっか!いつか言うと思ってた。
思ってたより早かったな〜。
やっぱり輝くん、綾乃ちゃんのこと好きなんじゃん」




予想に反して愛海ちゃんはけろっとした様子で答える。





「…だから愛海ちゃんの気持ちには応えられない」





しばらく重たい空気が流れる。





「なんで?」




愛海ちゃんが不思議そうに輝に聞いた。



私も輝も「えっ」と愛海ちゃんを凝視する。





「別に見返りを求めて好きになった訳じゃないよ。
自分は綾乃ちゃんに振られたのに諦めて無いんだよね?それなのに私には無理して諦めろっていうんだ」




強気な愛海ちゃんを見るのは初めてで目を擦る。


本当にあれ愛海ちゃん!? 





「そういうわけじゃないけど…」




あの輝でさえもたじたじになってる。




「私も、誰かさんと一緒で諦め悪いから。話ってそれだけ?もう行くね!」





愛海ちゃんがこっちに来る。


〈一緒に逃げて!〉と言われたので

慌てて付いていった。
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