千秋先輩。その鈍感、本気ですか?
「勝負?次の試合で?悪い。言ってる意味が把握できないんだけど…」




先輩が冷静に答える。





「試合でどっちが多く点を入れたかで勝負して欲しいんです。もし俺が勝ったら…」




輝が千秋先輩の方から私に視線を変える。





「その時はあや。俺と付き合って」
 




「「え!?」」




何言ってんの千秋先輩の前で!!





「待ってよ輝。そんな勝負しても千秋先輩にメリット無いじゃん!!失礼だよ!!」





「輝。それ、本気で言ってんの?」




千秋先輩が真っ直ぐ輝の目を見てる。

輝は先輩を見つめ返して強く頷いた。




「分かった。やろう、勝負」




千秋先輩がすぐに答える。

「前に言ってたの、輝だったんだな。
寺原、俺は今回は輝とちゃんと向き合うべきだと思う。俺にできることなら手伝うからさ」





いろんな感情が輝に対しても、千秋先輩に対してもこみ上げて来る。

これは怒り?…それとも…





「…分かりました。もし輝が勝ったら輝と付き合います」





「は!?」




今度は輝が驚いてる。
やっぱり無理だって分かってたんじゃん。




「私言ったよね、もう輝から逃げないって。
やっぱり今のままじゃダメだって、そう思ったから輝は勝負を持ちかけたんでしょ?
なら私も覚悟を決める。
せっかく千秋先輩も協力してくれてるみたいだし」




「あや…」




輝は"それでいいのか?"って目をしてる。
何だよ、自分から勝負ふっかけて来たくせに。





「なら決まりだな」
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