千秋先輩。その鈍感、本気ですか?
練習の様子を見ても、
勝負するのは先輩と輝だけなのに

部活全体が前にも増してぴりぴりしてる。



千秋先輩も真顔が増えて千秋先輩らしくないバスケをしてるように見える。


なんだか苦しそうで、申し訳ない。




輝もいつもはふざけてるのに全くそんな素振りは無い。



目が本気だ。




「だんだん様になってきたね」




七菜先輩が興味深そうにノートを取出す。


 
メンバーの弱点とか得意分野を書いたノート。





「みんな弱点は少しずつ克服してる。
初試合がかなり強豪の上甲路学園ってのがイマイチだけどいい線はいきそうだね」
 



「みんな頑張ってますもん!私達も頑張りましょう!」




愛海ちゃんが無造作にポニーテールを作りながらはきはき声をかける。 


上甲路学園は県内トップ8に入るほどの強豪だ。


でも、七菜先輩の言う通りいい線いきそう!!




「七菜先輩。そのノート少し書き足してもいいですか?」





「いいよ。誰か変わった所あった?」




七菜先輩がノートを私に差し出す。




「千秋先輩のシュートのジャンプがちょっと…」




七菜先輩がひゅっとノートを引っ込めた。





「あっ、それはもう書いておいたから大丈夫。ありがと!
綾乃ちゃん、湿布が切れかけてるから持って来てもらってもいい?」





「分かりました!」





湿布を保健室まで取りに行く。
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