キスから始まる……!「イケメン御曹司とキスして、フォーリンラブ!」

「……都築さん」

彼に目を向けると、

「……レオ」

ギュッと力強く手が握られて、まるで愛称のようにも親しみを込めて呼ばれるのに、

久しぶりに聞くその呼び方に、なんだか特別な響きを感じるみたいで、「はい…」と、照れながら返す。

「……ずっと、最初から君だけを見ていた」

甘い言葉が重ねられ、つかまれた手が彼の唇に柔らかくあてられる。

「…あの、ひとつだけ聞いてもいいですか?」

ちょっと軽口とも取れるセリフに、以前にあかりが言っていた、

『別れた彼女から逃げてたっていうのだって本当は嘘で、おおかた浮気でもして追いかけられてたとかじゃないの〜?』

という話が、ふいにまた頭をもたげてきて、確かめずにはいられなくなった。


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