キスから始まる……!「イケメン御曹司とキスして、フォーリンラブ!」

ううっ…絶対に、ズルい。

今日何度目かのズルいという言葉が思い浮かぶ。

この人、天然なのか、それとも自分のかっこよさを知ってて言ってるのかわからないけど、

とにかく、ズルすぎる!

「何、どうかした?」

相変わらず笑いをこらえている風で、唇に拳をあてているのに、

「……別に」

と、口を尖らせる。

「そうか、じゃあもういいんなら行こうか?」

「あ…ああ、はい…」

テーブルを立ち上がる彼に付いて行く。

スーツをスマートに着こなした後ろ姿はそつなく決まっていて、歩いて行く彼を女性たちが一様に振り返っていく。

「……ホント、ズルいくらいに、イケてるっていうか……」

ズルいしか言えなくて、もはやため息しか出なくなる。


< 12 / 157 >

この作品をシェア

pagetop