キスから始まる……!「イケメン御曹司とキスして、フォーリンラブ!」
……戻って来た彼の姿を見て、ぽかりと口が開く。
「…ど、どうしたんですか? その服」
「俺も濡れたから、着替えてきた」
なんでもないことみたいに言うけれど、その出で立ちはさっきまでのラフなスタイルとは打って変わって、
真っ白なシャツに黒のベストを合わせ、襟にはシックな蝶ネクタイを結んで、
下と同じカラーの黒のスーツを腕に掛けた、エレガントな男の色気を纏った格好だった。
「…あ、あの…それって……」
目のやり場にすら困るのに、
「…似合わないか?」
尋ねられて、
「いえ! 似合います! すごく!」
思わず両手を拳に握って力説をして、
「そうか、そんなに似合うか」
ふっと笑って、頭をぽんぽんと叩かれた。