キスから始まる……!「イケメン御曹司とキスして、フォーリンラブ!」
……何だったんだろう、あれって。
ベッドの脇に置いてあったカバンを探って、もらった名刺を取り出して見る。
「……あのTUZUKIの御曹司、か……」
帰り際に、『次の予約だから』なんてキザなことを言ってたけれど、
そんなスペックの高いモテ男が、通りすがりにキスしただけの私のことなんて、すぐに忘れてしまいそうにも感じた。
通りすがりにキスしたって……だけど、変なの。
あのイケメン、どういうつもりで私を選んだりしたんだろう……。
名刺を頭の上に掲げて眺めながら、
「……関係ないか……どうせ、もう会えないんだし……」
ぼんやりと呟いた……。