イノセント

牢へと戻る途中、出会った少年たちには髪を引かれ 何本かそのまま抜かれてしまった。

酒に酔った男には 大声で罵られながら、地面に押し倒され 顔を中心に殴られた。

家事勤しむ女には しかめっ面を見せつけられた、まるで見てはいけない何かを見てしまったかのような顔を。

まぁ、小汚い囚人なんて誰も見たくはないだろうが。

牢に戻り、ソテリアに興じる。

牢に入った貴族の為の遊びとは よく言ったもので これほど手軽な暇潰しはない。

しかし ずっとソテリアをしている訳にも行かない。

これから面会が入っているらしい。

私が外に出向かないところを考えて、本当にただの面会なんだろう。

わざわざ会いに来てまで 私と話をしたい人が居るなんて 思わなかった。

……誰なんだろうか。

「V、付いて来い。」

面会室へと連れて行かれる。
カーテンで仕切られて居て 相手の顔が見えない。

面会相手に手を出さないよう、立ち上がれないよう手脚を椅子に固定された。

カーテンが開く。

「惨めだな、Victor。」
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