宵の朔に-主さまの気まぐれ-
何故こういった類の話は知れ渡るのが早いのかーー
朔がまだ筆を手に返事を考えていると、晴明と山姫の間に生まれた白雷が尻尾を嬉しそうに揺らしながら駆けてきた。
「主さま、息吹様が」
「さーくちゃんっ。来ちゃったっ」
…思わず無言になってしまった朔の隣にさっと座って綺麗な二重瞼の目を覗き込んだ息吹は身をくねらせて頰を赤くした。
「朔ちゃんまたかっこよくなったんじゃない?女の子たちが放っておかないよきっと」
「ああ…何か聞きつけて来ましたね?」
「わかる?周さんからお手紙頂いてお嫁さん候補のこと聞いたの。行くでしょ?」
何故か決めつけにかかる母に対して強く出れない朔は、縁側で白雷と雪男がにやにやしているのを横目で見ながら仕方なく頷いた。
「一度会うだけですよ。俺は乗り気じゃな…」
「やだこれでお嫁さん決まっちゃったらどうしようっ!長男の姑として威厳を持って接しなくちゃ!」
「いやー、息吹それは無理だろ。威厳とか全然ないもんな」
「雪ちゃんうるさい!白ちゃんはどう思う?」
幼い頃あまりにも強い妖力を持って生まれたため病気がちで伏せっていた白雷は見事に成長して外見はほぼ成人に見える。
父の晴明は白狐の九尾と人との間に生まれた半妖で、母は男を魅惑して精魂を搾り尽くした後食ってしまう山姫。
白雷は白狐の遺伝が強く、頭の上には真っ白な耳、尻には真っ白な尻尾が生えて、血縁の焔と並ぶと兄弟のように見えた。
「息吹様は可愛らしいから威厳はないけどすぐ仲良くなれそうー。あと主さまが嫁を貰ったら毛繕いしてもらうんだー」
いつも語尾が間延びする白雷に皆が目を細める。
「というわけで朔ちゃん。気に入った子が居たら連れて帰って来てもいいからねっ」
「ははは、考えておきます」
その後息吹が末娘で雪男の妻である朧の元に向かうと朔がぽつり。
「もう行きたくなくなった」
「駄目だぞ、引きずってでも連れて行くからな!」
げんなり。
朔がまだ筆を手に返事を考えていると、晴明と山姫の間に生まれた白雷が尻尾を嬉しそうに揺らしながら駆けてきた。
「主さま、息吹様が」
「さーくちゃんっ。来ちゃったっ」
…思わず無言になってしまった朔の隣にさっと座って綺麗な二重瞼の目を覗き込んだ息吹は身をくねらせて頰を赤くした。
「朔ちゃんまたかっこよくなったんじゃない?女の子たちが放っておかないよきっと」
「ああ…何か聞きつけて来ましたね?」
「わかる?周さんからお手紙頂いてお嫁さん候補のこと聞いたの。行くでしょ?」
何故か決めつけにかかる母に対して強く出れない朔は、縁側で白雷と雪男がにやにやしているのを横目で見ながら仕方なく頷いた。
「一度会うだけですよ。俺は乗り気じゃな…」
「やだこれでお嫁さん決まっちゃったらどうしようっ!長男の姑として威厳を持って接しなくちゃ!」
「いやー、息吹それは無理だろ。威厳とか全然ないもんな」
「雪ちゃんうるさい!白ちゃんはどう思う?」
幼い頃あまりにも強い妖力を持って生まれたため病気がちで伏せっていた白雷は見事に成長して外見はほぼ成人に見える。
父の晴明は白狐の九尾と人との間に生まれた半妖で、母は男を魅惑して精魂を搾り尽くした後食ってしまう山姫。
白雷は白狐の遺伝が強く、頭の上には真っ白な耳、尻には真っ白な尻尾が生えて、血縁の焔と並ぶと兄弟のように見えた。
「息吹様は可愛らしいから威厳はないけどすぐ仲良くなれそうー。あと主さまが嫁を貰ったら毛繕いしてもらうんだー」
いつも語尾が間延びする白雷に皆が目を細める。
「というわけで朔ちゃん。気に入った子が居たら連れて帰って来てもいいからねっ」
「ははは、考えておきます」
その後息吹が末娘で雪男の妻である朧の元に向かうと朔がぽつり。
「もう行きたくなくなった」
「駄目だぞ、引きずってでも連れて行くからな!」
げんなり。