ロッカールーム
☆☆☆

教室内には琴の食べる音と、秀太に媚びる女子生徒の声で充満していた。


２人の奇行に顔をしかめるクラスメート。


その生徒からも灰色のモヤが立ち上った。


「なにあれ、ハーレム？」


「教室内でばっかじゃないの」


コソコソと噂話をする女子生徒たちの口からも灰色のモヤが立ち上る。


教室の後ろでは花が花瓶の水をかけられている。


美桜と未来の笑い声は灰色に濁っている。


花瓶の水が飛び跳ねてかかってしまった男子生徒が派手に舌打ちをした。


その口からもまた、灰色のモヤが噴き出した。


人の汚い心はこんなにも沢山存在している。


今まで見る事ができなかっただけで、あちこちに当たり前のようにあったんだ。


あたしは灰色に包まれる教室を見て恍惚とした表情を浮かべた。


そんなあたしの体からもきっと灰色のモヤが出ていることだろう。


今日はお母さんと何時間話しができるだろう。


異様な教室の中、あたしはそう考えてほほ笑んだのだった。
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