ロッカールーム
「奥山美咲、奥山美咲、奥山美咲」


あたしたちはお母さんの名前を3回唱えた。


周囲はシンと静まり返っている。


『ロッカールーム』にはなんの異変も訪れない。


1分ほどその場に立って様子を見ていたけれど、特に変わった様子もない。


あたしとサクは同時に深いため息を吐き出した。


やっぱり、死者に会えるなんてありえない。


噂はただの噂だったんだ。


分かっていた事だけれど、落胆してしまう。


両親に会えるかもしれないという小さな小さな期待は消えてしまった。
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