ロッカールーム
「ありがとう」


弘樹は照れたように頭をかいた。


「これ、まだ未完成なんだ?」


「あぁ。もう少し色を重ねたいと思ってたんだ」


「未完成なのにここまで描けるなんて、まるで魔法だね」


「なんだよそれ。恥ずかしくなるようなこと言うなよ」


「だって、本当に思ったんだもん」


あたしがそう言うと、弘樹はますます嬉しそうだ。


「コンテストに間に合ってたら、弘樹が受賞だったかもね」


「どうかな。俺の実力なんてまだまだだし」


そう言いながらも、弘樹は面白くなさそうな表情になっている。


本当は自信があったのかもしれない。

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