ロッカールーム
あんな絵には負けないと信じて頑張って来たに決まっている。


「弘樹はもっと自信を持っていいと思うよ。時間がない中で描くのと、恵まれた環境で描くのは全然違う」


「そっか……そうだよな」


頷く弘樹の体から、またモヤが立ち上りはじめた。


「今度は絶対あんな奴に賞はやらない。プロになるのは俺なんだ」


「うん。応援してる」


あたしはそう言って弘樹の背中を叩いたのだった。
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