ロッカールーム
トイレの水を流す音が聞こえてきて、ドアが開閉される音が聞こえて来る。


そのまま部屋へと向かうのかと思いきや、足音が止まった。


「あれ?」


祖母のそんな声が聞こえてきてギクッとする。


階段に電気がついていることに気が付いたのかもしれない。


けれど、階段は少し曲線になっているためスイッチを消すだけなら気が付かれないはずだ。


覗き込んで来なければ大丈夫。


自分自身にそう言い聞かせても、心臓はドクドクと早くなる。


サクからも緊張が伝わって来た。


祖母の足音が階段へと近づいてくる。


あたしは思わずサクの手をキツク握りしめていた。


「お前たち、どこへ行くんだい?」


階段を覗き込んできた祖母がそう言った……。
< 148 / 217 >

この作品をシェア

pagetop