ロッカールーム
あたしは呼吸を整えて、身だしなみをチェックした。


「今日はどのくらいの時間会えるかな」


サクがわくわくした口調でそう言って来た。


「わからない。でも昨日の事が死者の力として反映されていれば、お父さんはここから離れることができるかもしれない」


あたしがそう言うと、サクは目を輝かせた。


祖母を殺した罪悪感なんて、ロッカーの前では消えてしまうようだ。


「そろそろ時間だよ」


あたしはそう言い、2人でお父さんの名前を3度唱えた。


ロッカーの中の空間が歪み、お父さんが姿を見せる。


その姿にあたしは自然とほほ笑んでいた。


昨日1日会えなかっただけなのに、ようやく会えたという気分になってしまう。


きっと、昨日が長すぎたからだ。
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