ロッカールーム
☆☆☆

祖母を殺したという現実は夢であってほしかったけれど、お父さんが家にいるという現実は夢にはなってほしくなかった。


一旦眠って目を覚ますとお父さんがいなくなっているんじゃないかと、不安で不安で仕方がなかった。


しかし、翌日リビングへ行くとお父さんがいた。


ソファに座って新聞を読んでいるその姿は生前と全く同じだ。


場所が祖母の家に変換されただけだ。


「お父さんおはよう!」


あたしは嬉しくなって後ろからお父さんに抱き着いた。


「なんだ小夜、朝から元気だな」


「えへへ。お父さんがいるからだよ」


両親が死んだあの日から、あたしはずっとこの日を待っていたんだ。


再び2人に会う事ができたら、思いっきり甘えて自分の気持ちをぶつけるんだと思っていたんだ。
< 171 / 217 >

この作品をシェア

pagetop