ロッカールーム
☆☆☆

窓のないその場所は真っ暗で、あたしは持参した懐中電灯をつけた。


照らし出された先には錆びたロッカーがズラリと並び、すえた匂いが充満している。


身長ほどあるロッカーは部屋の壁にズラリと並べられていて、中央には長椅子が2つ置かれていた。


ここは昔生徒たちの荷物置き場や更衣室として利用されていたらしい。


新校舎は広くて綺麗だから、もちろん荷物置き場も更衣室も別々に確保されている。


けれど昔はそれらが一緒になっていたのだと聞いた。


だからこれだけの量のロッカーが並んでいて、教室の名前も『更衣室』ではなく『ロッカールーム』となっているのだ。


この『ロッカールーム』の一番奥にあるロッカーは1つだけ木製だ。


あたしたちはそのロッカーの前に立った。


いつの間にか手にはジットリと汗が滲んでいて、あたしはそれをパジャマのズボンでぬぐった。


木製のロッカーは黒く変色している箇所がいくつもあり、今にも崩れ落ちてしまいそうなくらい朽ちている。

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