ロッカールーム
あたしは寝返りをうってキツク目を閉じた。


死者に会うために少年院へ入るなんてことになったら、本末転倒だ。


そんなことになったらお父さんにもお母さんにも会えなくなってしまう。


それなら……人にやらせればいいんじゃないか?


ふと思いついてあたしは目を開けた。


毎日の学校生活の中じゃ、誰かの悪口くらいいつでも聞いている。


あいつが嫌いだ。


こいつが嫌いだ。


そのくらいのマイナスの感情なら、きっと誰でも持っている。


そこに付け込めばいいんじゃないか?


何も自ら手を汚す必要なんてない。


元々存在していた感情を爆発させてやればいいだけなんだ。


それなら少年院へ入る必要もなく、両親と会う時間を長くできる。


「なーんだ、簡単じゃん」


あたしはそう呟いてニヤリと笑ったのだった。
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