ロッカールーム
あたしは自分の荷物を持ったまま美桜の席へと急いだ。


引き出しの中を覗き込むと、今日もピンク色のポーチが見えた。


ブランド物のポーチで美桜のお気に入りだ。


あたしはそれを取り出し、真っ直ぐ花の席へと向かった。


「机の中より、ロッカーの中の方がよくないか?」


サクが教室の後方にある生徒用のロッカーを指さしてそう言った。


旧校舎にあるような大きなロッカーではなく、体操着などが入るだけの正方形の小さなロッカーだ。


「いいね。そっちの方が隠している感じがするかも」


あたしはそう言い、花のロッカーに近づいた。


誰のロッカーにも鍵はついていない。


あたしは鼻のロッカーを開けると迷う事なく、ポーチを入れたのだった。
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