ロッカールーム
呆れてそう言うサク。


「美桜大丈夫? 誰かが間違えて持って帰っちゃったんじゃない?」


あたしは美桜へ近づいてそう言った。


「ずっと自分の机の中に入れておいたのに、どうやって間違えて持って帰るのよ」


「ん~。例えば、自分の席と美桜の席を間違えたとか?」


「美桜のポーチはブランド物だしねぇ。盗まれたんじゃない?」


横からそう言ったのは未来だった。


化粧直しが終ったらしい。


「おいおい、やめろよそういうの」


男子生徒たちが未来へ向けてそう言う。


けれどその表情は好奇心に満ちていた。


化粧品なんて男子生徒には縁のないものだから、楽しんでいるのだ。
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