ロッカールーム
これから外の倉庫にどうにか到着して両手に道具を抱えて戻って来る。


その間にも雨は激しく振り続いている。


同じ係りの男子生徒が花に傘を差しかけているけれど、それもほとんど意味がなかった。


小走りに走っていた花が、ぬかるんだグラウンドに足をとられるのがわかった。


あっと思った次の瞬間には花は泥の中に突っ込んでしまっていた。


それを見ていた数人のクラスメートたちから笑い声が漏れる。


「ダッサ」


あたしも思わずそう呟いていた。


見れば見るほどイライラするタイプの子だ。


どうして今までイジメられていなかったのは不思議に感じるくらいだった。


ドロドロになった体操着で立ち上がり、道具を持って歩き出す花。


男子生徒はすでに先に行ってしまっていて、誰も花に手を貸さない。
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