ロッカールーム
「でも……あたしじゃない……」


花の言葉に涼がため息を吐き出した。


雨に濡れたままのソフトボールを手に取る。


「じゃあ、なんで体操着が入れ替わってたんだ?」


「知らない!」


ブンブンと左右に首を振る花。


その目には涙が浮かび、クラスメートたちに助けを求めている。


けれど、昨日と同様誰も手を貸そうとはしなかった。


もう無理だ。


昨日も今日も花は助けようのない事をしてしまった。


これでクラス内での花の立場は決定したようなものだった。


「いい加減にしろよ!」


涼の怒鳴り声が響き渡り、ソフトボールが花の頬をかすめて飛んで行った。


バンッ!と壁に強くあたり、落下するボール。
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