逢いたい
4月
私、市川心優、16歳。
普通になりたい、いつもそう願っている。無理だけど、
入学式の日にこんなブルーになるなんてね、
それにしても、綺麗な桜。
ヒュ~ヒュ~。
「あの、ついてますよ。桜が」
「あ、ありがとうございます!」
「いいえ〜!この桜、綺麗ですね。」
「あ、そうですね」
「うんうん!ねー名前は??」
「市川心優です。」
「みうちゃんか、漢字は?」
え、そこまで聞く?おかしなひと。
「おーい、みうちゃーん!」
「あ、はい。心に優しいです。」
「いい字だね!
心優ちゃんの親はいい名前をプレゼントしてくれたね!」
「あ、はい、そうですね。」
そんなことない。そんなことなんか、
絶対ない。どうせ適当につけた名前だよ。
あんなやつらの事だから。
「あの、入学式始まるんで行ってもいいですか?」