嵐を呼ぶ噂の学園① とんでもない学園に転校して来ちゃいました！編

結局たった一人でたそがれてしまった。



「あの人カッコつけてる～」



というガキの声。



「ああいう人、本当にいるんだ…」



「引くわ～」



という、地元でも有名な進学校の女子生徒の軽蔑の言葉を背に受けながら、オレは海岸線に沈んでいく夕日を見つめた。


夏がやってきて、まだ日は沈まない。


まるで恥ずかしいことを言われて頬が紅潮するかのように空が少しずつ赤みを帯びてくる。


赤とオレンジの中間の色をした太陽がオレを照らしていた。



人に何を言われても帰る気はない。


あと少し、もう少しだけ、ここで心を癒やしたい。


人生で初めて女子を振ったオレのメンタルは、思ったより丈夫じゃないみたいだ。


ダイヤモンドのように硬いと思ってたけど、粘土のように柔らかくて自由自在に変形する。


硬いダイヤモンドに衝撃が加わってヒビが入り、そこにほんのりと熱が生まれる。


朱比香がちょっとかわいそうに感じたオレは、良いヤツかもしれない。