嵐を呼ぶ噂の学園① とんでもない学園に転校して来ちゃいました!編
星名湖杜の身体は、オレ以上に冷え切っていた。


しかも、想像以上に軽かった。


女子に体重を聞くのは、男としてやってはいけないことだ。


オレは頭の中でおよその体重を予想し、一人盛り上がっていた。



「…あのぉ」



だんまりを決め込んでいたが、星名さんが沈黙を破った。


蚊の鳴くような声。


朝、鬱陶しいくらいのバカでかい声で挨拶をしているとは思えない。



オレの中の数パーセントの良心が突き動かされる。


ほんの少し、星名さんが可哀想に思えた。



そして、不意にオレに振られた朱比香の泣き顔を思い出す。


2人がリンクして、ジリジリとオレの胸を焦がしていく。


まだ、オレにも感情はあったか…。


死んだはずの心は生きていたか…。



「青柳くん」



星名さんの声でハッと我に返った。


一瞬、夢を見ていた…ような気がする。


意識がふわふわとどこかに浮遊していた。



「何?」



とっさに平静を装う。


演技しなくても、たぶん気づかないだろうけれど。



一呼吸置いて鈍感な星名さんが話し出す。



「今日、青柳くんは…私の彦星です」
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