嵐を呼ぶ噂の学園① とんでもない学園に転校して来ちゃいました!編
あたしがどれだけ努力しても適わない人が1人だけいる。


同じ学区内で1番大きな家に住む彼女とは、産まれたときからほぼ毎日顔を合わせていた。


私が5月4日に産まれると、次の日には隣に彼女はいた。



「あたしの名前は畠山朱比香!す・ぴ・かだからね。星のようにキラキラ輝く人になります!みんな、すっぴーって呼んでね!」



幼稚園の自己紹介で朱比香はそう言ってのけ、それ以降も自己紹介の度にこのフレーズを出してきた。


あたしは正直朱比香が苦手だった。


母親同士が仲良くなかったら、きっとそこまで一緒の時間を共有していなかったと思う。


3歳で習い始めたピアノから始まり、幼稚園、小学校、中学校、高校…と全て同じ。


小学校3、4年の時にクラスが離れた以外はずっと一緒にいた。


時間を共有していくうちに慣れてしまって朱比香のイヤなところは見えづらくなっていた。



そう。



見えづらくなっていた、だけ。



ホントは見えていた。
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