嵐を呼ぶ噂の学園① とんでもない学園に転校して来ちゃいました!編
新生活が始まってから1ヵ月が経ち、ゴールデンウィークがやってきた。


休みとはいえ、帰宅部の私は、専ら家の手伝いをさせられていた。



わたしが引っ越して来たのは、昔の記憶は鮮明で、わたしのことを砂織(さおり)おばさんと間違えてさっちゃんと呼ぶ、御歳72才のおばあちゃんが1人で生活していた定食屋だった。


父は働きながら専門学校に通い、28歳で調理師免許を取得していたため、自治体の衛生なんとか研修は免除され、スムーズに店を再開させた。


おじいちゃんが亡くなってからはおばあちゃんが1人で切り盛りしていた定食屋“星名食堂”は意外にもそこそこ繁盛している。


お昼時になるとスーツをビシッと着こなしたサラリーマンやOLさんが来たり、地元のご老人たちもお腹を満たすために通っているようだ。


そして午後6時を過ぎると今度は学生たちで賑わう。


元店主のおばあちゃんのこだわりで、大学生まではワンコインで定食を提供することになっている。


ご飯山盛りに味噌汁、メインディッシュに日替わりの小鉢が付くから、部活帰りの食べ盛り男子学生の評判は上々。

週3で通う大学生もいる。



「湖杜はウチの看板娘だからな!しっかり接客頼むぞ!」



父に毎日のように言われているため、わたしは油臭いこの空間から抜け出せないのだった。
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