嵐を呼ぶ噂の学園① とんでもない学園に転校して来ちゃいました!編
真砂さんはオレよりも早く来て、海岸沿いをうろうろしていた。


なんか、様子、変だな…。


異変に気づいたが、オレはいつも通りに話しかけた。



「真砂さん」



「えっ?…あっ…波琉くん、今日もお疲れ様」



やっぱり何か変だな。


この前会ったとき、オレ、なんかしでかしたっけ?


記憶の糸を辿るものの、全く見当がつかない。


だとしたら、学校で何かあったのか?



オレはその線を疑うことなく、実にナチュラルに質問した。



「学校で何かあった?」



「いや、別に…。何もないよ」



じゃあ何なんだ?


この違和感の正体は一体…。



「波琉くん、あのね…。私…」



唐突に話し出したかと思ったが、そこで止まった。


真砂さんは次の言葉を模索しているみたいだった。


オレは…ただ待った。



急かすつもりはない。


言いたくないのなら言わなくてもいい。




夕焼けこやけでまた明日


また明日




幼稚園児時代に歌った懐かしいメロディーが頭の中に流れて来た。



あぁ…そういえば、百合野がオレの音痴を笑ってたなぁ。


オレ、アイツに歌うなって注意されておきながら、朱比香様には「波琉くん、お歌、お上手ねえ!」なんて持ち上げられるから、みんなの迷惑お構いなしにドデカい声で歌っていた。


というのも幼稚園の年少くらいの話だが。



「波琉くん!」



追憶にふけっていたら、真砂さんの透き通った声が耳をすり抜けた。


見た目は高校生、心は幼稚園児という複雑な状況に入り込んで来た声に、オレは身震いした。



「…何?」



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「私…波琉くんが好きです!付き合って下さい!」
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