嵐を呼ぶ噂の学園① とんでもない学園に転校して来ちゃいました!編
声の主はオレのところに駆け出したものの、石ころに躓き、派手に転んだ。


アハハハハ…


ホント、どんくさ。


笑いをこらえようとするも、その鈍くささといい、見た目の時代錯誤感といい、とにかくオレのツボに入り込んで来て抜けない。


抑えきれず吹き出した。



「あの…大丈夫ですか?」


「自分こそ大丈夫なのかよ」


「あっ…はい!私はぜんっぜんヘーキです!ほら、見てください。手も足も動かせますよ」



わざわざ見せつけるとは…呆れる。


つうか、疲れる。


コイツに合わせてたら、なんかオレ、精神的に過労死しそう。


面倒なことに巻き込まれないように、コイツから早く離れないと…。



「ちょっと!なんで動いているんですか?!ケガしてるんですから、安静にして下さい!」



うわぁ、面倒。


超おせっかい。


オレ、コイツに何歳だと思われているワケ?



「とりあえず、傘お貸ししますから歩いて帰って下さい」



「いや、オレ傘なくても帰れるから。心配しなくても大丈夫」



オレなりの優しさを出したつもりだったが、なぜか彼女は、頬をフグのように膨らませた。



「心配します!私…青柳くんの知り合いですから!」



は?


何言っちゃってんの、コイツ…。


こりゃ、引くわ。


重い。


コイツ、付き合ったらマジで重いタイプだわ。


自分だけのものだと勘違いしちゃうタイプ?


そして、束縛。


うわ~、マジ苦手。



神様お願いします。


早く解放して下さい。



しかし、天に祈っても降ってくるのは大粒の雨のみ。


空には灰色の分厚い雲がかかり、日光を完全に遮断している。



…って、



あぁ…。




目の前が、一気に明るくなった。



「風邪…引かないうちに帰りましょう」



星名湖杜は、ピンクが好きらしい。
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