嵐を呼ぶ噂の学園① とんでもない学園に転校して来ちゃいました!編



「いっ、たー!もうちょい、優しく…」



「すぐに終わりますから、ガマンして下さい!」



青柳くんは私が作ったオムライスをペロリと平らげ、そそくさと帰ろうとしていたが、私は逃がさなかった。


青柳くんは自転車で膝を擦りむいた。


大切な制服が破れたというのに、しゃあしゃあとしているから私は驚いた。


私だったら痛くて泣いていただろうし、自転車より自分のケガを心配したはず。


これが男の子と女の子の差なのかな?


自分とママチャリで…ママチャリ?


う~ん、分からないなぁ…。



「ずいぶん派手に転んだんですね。どんな転び方したんですか?」



私が聞いても、青柳くんはそっぽを向くばかりで答えてくれなかった。

 
痛々しい膝に「いたいの、いたいの、飛んでいけ~!」とおまじないをかけながら、消毒液を塗り、大きめの絆創膏を貼った。


小さい頃からドジというか、おてんばだった私はよくお父さんに絆創膏を貼ってもらっていた。


でも、それだけでは消毒が出来ないと保健の授業を聞いて分かり、自分で消毒液を買いに行ったこともあった。


自分のケガの手当ては自分でしていたから自然と身に付いたみたい。


そして、私の性格上、ケガしている人をみると放って置けないんだ。


だから、平気だと言われても引き下がれなかった。


だって、もしばい菌が傷口から侵入して変な病気になったり、腫れ上がったりしたらたいへんじゃん!


強引だった気もするけれど許してほしい。
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