意地悪な君と秘密事情
私を見ながらクスクス笑っている桐島くんにイライラしていた。


「そもそも目が覚めたんなら帰った方が良いんじゃないの?」

「んーそうだな。風呂入りたいし着替えたいからな。帰ろうかな」


桐島くんから返ってきた言葉は、私が思っていたよりも随分あっさりした返事に拍子抜けする。


「そう」

「とりあえず支度したらまた来るわ」

「はい?!」


自然に言い切った言葉に私は耳を疑う。


ちょっと待て…………今、何て言った?


私の聞き間違えじゃなければ、桐島くんは“支度したらまた来る”って言った。


“また”来る、だと?


「……ちょっと待って。どういうこと?今、空耳が聞こえたのかな?」

「空耳じゃねーし」

「は?」

「だから一度帰って風呂入って着替えてから来るって言ったよね?」


唖然とする私に向かって桐島くんはそう言うと、


「じゃあまた後で。戻って来るからって居留守とか使うんじゃねーよ」


それだけ言い残して去って行った。


…………は?どういうこと?


桐島くんが帰った後、しばらく現状を処理することが出来なかった。


……あーなんか余計に頭が痛くなってきたかも。


ため息が零れ落ちるが、時すでに遅し。


「あー……どうしよう……」


そう呟いて私はガクリと肩を落とした。

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