意地悪な君と秘密事情
それから数日後、私は相変わらず慌ただしく仕事に追われていた。順平と組んで進めている企画も順調に進んでいた。
取引先との打ち合わせでお互いのプランを伝え合い、それを元に企画書を書いて順平が上手に売り込んでくれるお陰で順調に企画も進んでいた。
今回も打ち合わせが無事に終わった。
「順平のおかげで毎回スムーズに打ち合わせが進んで企画もスムーズに進んでる気がする」
「まあこれぐらい普通だけどな」
「でも順平がいなかったらここまでスムーズにはいかないよ。だって私一人だといつも企画書を取引先に持ってくと大体没を食らうか、話がなかなかまとまらなくて締め切りギリギリになっちゃうし」
私はそう言いながら苦笑する。
「でも高梨の考える企画って毎回新鮮で面白いって思うけど」
「えーそうかな~……あんまり実感がないからしっくり来ないけど」
エレベーターを待ちながらそんな会話をしていると、タイミングよくエレベーターが私たちが待っている階にやって来てゆっくりと扉が開いた。
「順平はやっぱり同期の中でもエース候補って呼ばれるだけあるよね!」
「褒めても何も出ないぞ」
「あはは」
そんな他愛のないような会話をしながらエレベーターに乗り込むと、エレベーターの中にいた人物を見て私は驚く。
「……え?」
このエレベーターに先に乗っていたのは、桐島くんと桐島くんの隣にはとても綺麗な女性が立っていた。
「高梨、どうした?」
「あ……な、なんでもない」
「なんでもないって言う割には固まってるけど大丈夫か?」
心配そうに私を見る順平を見て私は苦笑する。
……まさか契約を取っている企業先で桐島くんに会うなんて思っていなかった。
桐島くんから貰った名刺に書かれていた部署は、企画部だった訳だから、桐島くんもこの会社に仕事で来てるんだろうけど。
全く想定をしていなかった事態に私は固まる。
「……高梨、本当に大丈夫か?」
順平は心配そうに私の顔を覗き込み、尋ねてくる。
「あ、うん。大丈夫、大丈夫」
「ホントに?」
「うん」
無理矢理笑顔を作った私を見て順平は苦笑するが、それ以上深くは聞いてこなかった。
「…………人の顔を見て、幽霊でも見たような表情をするってさすがにムカつくんだけど」
壁に寄りかかって黙って私たちの様子を見ていた桐島くんは、私を見ながらそう呟く。
「え?あの人と高梨って知り合い?」
「知り合いっていうか……なんというか……」
不思議そうにしている順平を見ながら口籠っている私を見ていた桐島くんは、静かに私の傍にやって来た。
「高梨とは高校の頃の同級生です。あ、申し遅れました。桐島伊織と申します」
桐島くんは得意の営業スマイルを浮かべ、順平に名刺を渡す。慌てて桐島くんから名刺を受け取った順平は自分の名刺を取り出すと桐島くんに渡す。
「まさか高梨の知り合いにこんな有名な会社で働く人と知り合いがいるなんて知らなかったな」
「あはは……」
順平は桐島くんの名刺を見ながら感心したように呟いている。
「……桐島くんもここに仕事で来てるの?」
「ああ。俺の会社もここと取引しているからな」
今日はその打ち合わせだ、と桐島くんは呟く。
取引先との打ち合わせでお互いのプランを伝え合い、それを元に企画書を書いて順平が上手に売り込んでくれるお陰で順調に企画も進んでいた。
今回も打ち合わせが無事に終わった。
「順平のおかげで毎回スムーズに打ち合わせが進んで企画もスムーズに進んでる気がする」
「まあこれぐらい普通だけどな」
「でも順平がいなかったらここまでスムーズにはいかないよ。だって私一人だといつも企画書を取引先に持ってくと大体没を食らうか、話がなかなかまとまらなくて締め切りギリギリになっちゃうし」
私はそう言いながら苦笑する。
「でも高梨の考える企画って毎回新鮮で面白いって思うけど」
「えーそうかな~……あんまり実感がないからしっくり来ないけど」
エレベーターを待ちながらそんな会話をしていると、タイミングよくエレベーターが私たちが待っている階にやって来てゆっくりと扉が開いた。
「順平はやっぱり同期の中でもエース候補って呼ばれるだけあるよね!」
「褒めても何も出ないぞ」
「あはは」
そんな他愛のないような会話をしながらエレベーターに乗り込むと、エレベーターの中にいた人物を見て私は驚く。
「……え?」
このエレベーターに先に乗っていたのは、桐島くんと桐島くんの隣にはとても綺麗な女性が立っていた。
「高梨、どうした?」
「あ……な、なんでもない」
「なんでもないって言う割には固まってるけど大丈夫か?」
心配そうに私を見る順平を見て私は苦笑する。
……まさか契約を取っている企業先で桐島くんに会うなんて思っていなかった。
桐島くんから貰った名刺に書かれていた部署は、企画部だった訳だから、桐島くんもこの会社に仕事で来てるんだろうけど。
全く想定をしていなかった事態に私は固まる。
「……高梨、本当に大丈夫か?」
順平は心配そうに私の顔を覗き込み、尋ねてくる。
「あ、うん。大丈夫、大丈夫」
「ホントに?」
「うん」
無理矢理笑顔を作った私を見て順平は苦笑するが、それ以上深くは聞いてこなかった。
「…………人の顔を見て、幽霊でも見たような表情をするってさすがにムカつくんだけど」
壁に寄りかかって黙って私たちの様子を見ていた桐島くんは、私を見ながらそう呟く。
「え?あの人と高梨って知り合い?」
「知り合いっていうか……なんというか……」
不思議そうにしている順平を見ながら口籠っている私を見ていた桐島くんは、静かに私の傍にやって来た。
「高梨とは高校の頃の同級生です。あ、申し遅れました。桐島伊織と申します」
桐島くんは得意の営業スマイルを浮かべ、順平に名刺を渡す。慌てて桐島くんから名刺を受け取った順平は自分の名刺を取り出すと桐島くんに渡す。
「まさか高梨の知り合いにこんな有名な会社で働く人と知り合いがいるなんて知らなかったな」
「あはは……」
順平は桐島くんの名刺を見ながら感心したように呟いている。
「……桐島くんもここに仕事で来てるの?」
「ああ。俺の会社もここと取引しているからな」
今日はその打ち合わせだ、と桐島くんは呟く。