❀ お嬢様華伝 ❀
あまりにも小さな音だから、このあたしでも、丸メガネくんと話しているときには聞き取れなかった…。


一体だれが…、どこから…。


あたしは目をつむり、息を殺した。

そして、耳に意識を集中させた。


カシャ…、カシャ…


音が聞こえる方向…。


それは……。



「…そこかっ!!」


あたしは、180度大きく振り返った。


一見…なんの変哲もないような路地裏。
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