❀ お嬢様華伝 ❀
…でも、現に蛍はここにいる。


すると、あたしの質問に対し、蛍はポカンとした表情を見せた。


「…へ?どこからって、…ここからだけど?」


そう言って、蛍は上に向かって指差した。


あたしもつられて見上げると、葉っぱを覆い茂らせた太い木の枝が視界に入った。


そう。

あたしたちが今立っている場所は、高さ5メートルほどある木の根元。


まさかとは思ったけど…。
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