❀ お嬢様華伝 ❀
「ほら、行くぞ!」

「ちょっと待ってよ…!あたしは正門からっ」

「なに言ってんだよ。そんな遠回りしてる時間なんかねぇって」

「で…でもっ、だれかに見つかったらっ…」


…明らかに、怪しいでしょ。


ということを心配するあたしをよそに、蛍はあっという間に木の枝分かれした部分まで登っていった。


「お前、…よく考えてみろよ?お嬢様が、木を伝って出入りしてるなんて、だれが考えるんだよ?」
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