❀ お嬢様華伝 ❀
魂が抜けたようにポカンと座っているだけで、動こうと思っても…うまく動けない。


…そのとき。


「しっかりなさってください、麗さん…!」


隣の席の桜子が、あたしの肩を叩いた。


「桜子…」

「早くお父様のところへ!麗さんのお母様もお一人で、さぞかし不安でいらっしゃるはずですわ…!」


その桜子の言葉で、ようやく目が覚めた。

停止していた思考回路が動き出す。
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