❀ お嬢様華伝 ❀
それなのに、涙は止めどなく溢れ出す。


飛鳥の前なのに…。

泣きたくなんかないのにっ…。


飛鳥に泣き顔を見られまいと、あたしは飛鳥に背を向けた。


そして、必死に涙を拭う。


止まれ、涙…!

止まってよ〜…。


…そのとき。


ギュッ…


後ろから…抱きしめられた。


「…わりぃ。泣かせてるの…俺だよな」


そんな優しい声が、耳元に聞こえる。
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