❀ お嬢様華伝 ❀
すると飛鳥が、ポツリと呟いた。


「俺も…、この島が好きだ」


その言葉に、あたしは目を見開けた。


「あの日、この島を“観光”して、すっげー楽しかった。なにもないけど、なにもない中に楽しいことがたくさんあって、ほんと飽きさせねぇよ…この島」


あの日だって、飛鳥の態度には、特にこれといって変化は感じられなかった。


もともと顔には出さないタイプだし。
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