恋に落ちたらキスをして
 綾は格段に酒が強かった。
 ただ、ゲームに弱くて何度も飲む羽目になった。
 それでも酔い潰れない。

 最終的に2人ともへべれけに酔って、テーブルに頭を乗せていた。

「太郎さんはさぁ。
 正直、あんまりだなぁと思ってたよ。」

 酔った揺れる声で話し始めた打ち明け話。
 ぐるぐるする頭で聞いていた。

「じゃどうして付き合ってたんですか?」

「だってやっぱり結婚するなら尚みたいなイケメンじゃ心配じゃない?浮気とかさ。
 そしたらまさかの太郎さんにされるなんて笑っちゃうよね。」

 あはは。と笑う綾の体に腕を回した。

「なぁに?
 エッチなことしたら尚の負けだかんね?」

「だかんねってどんな言葉だよ。」

 ハハハッと笑って、鉄壁の笹島先輩の柔らかい顔を初めて見れた気がしていた。

「尚はあったかいね。
 こんな時に側にいていいって言われたら落ちちゃいそうだよ。」

「…………。」

「なーんて。落ちませんけどねー。」

 あはは。とまた明るく笑う綾に回した腕に力を込めた。

「抱きしめれのらスキンシップれしょ?
 あれ。ろれつ……。ハハッ。」

 抱きしめた綾からはいい匂いがして、こんな人と住んだら俺の方が……なんてことが心をよぎった。

 ミイラ取りがミイラになったってね。

「泣いたっていいよ。
 俺の胸で良ければ貸すから。」

 最後はかっこよく言えて、そこからは意識を手放していた。




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