扉の向こう
今日は、地元の同級生の月1の飲み会。
進学でほとんど田舎から出たけど
私やリンリンみたいに
地元で就職した人も結構居て
月に1度は集まるようになった。
ま、集まるのは結局
いつものメンバーなんだけど。
小さい頃から一緒だし
思い出を共有できる仲間が側にいて
楽しいし、幸せだなって思う。
素の自分でいられるから
気楽でいい。
ーーーーーガラガラガラっーー
行きつけの居酒屋のドアを開け
のれんをくぐる。
「おっ花音ちゃん、いらっしゃい!!いつもの奥の座敷だよ」
大将が明るい声で奥を指差した。
週末ってこともあり
お店は、満席で
いつもは、カウンターの中にいる大将も
自ら料理を運んでて忙しい様子。
『オッケー、あっ私、ビールね~~』
「はいよ、すぐ持ってくから」
そう言って、大将は
慌ただしくカウンターの中へ
入って行った。
座敷のある奥の廊下を歩いていくと
賑やかな声が聞こえてきた。
ふすまをそうっと開け
中を覗く。
「あっ、花音!!やっと来たー!!」
リンリンがすぐに私に気付き
みんなの視線が一気に私へ向いた。
『遅くなりました(笑)』
部屋の中へ入り
空いてるテーブルの端へと腰をおろした。
コートを脱いでいると
私の頼んだビールが運ばれてきた。
「花音も来たことだし、乾杯しよう!」
リンリンの声かけにみんなが
グラスを持つ。
キンキンに冷えたジョッキを持ち
リンリンへ視線を向けると
リンリンは軽く咳払いした。
「今日も楽しく飲みましょ~~かんぱーーいっ!!」
かんぱーーい!!
リンリンの大きな声が響き
みんなもそのテンションに合わせて
声を出しグラスを差し出した。
グビグビと一気に半分ぐらいまで飲む私に
奥に座ってるキヨタがつっこむ。
「やばっ(笑)お前、今日は暴れんなよ!(笑)」
そう言うと周りのみんなが笑う。
それには訳があって
先月の飲み会の時
大将からの差し入れで
普段飲まない日本酒を飲まされ
ベロンベロンに酔っぱらったからだ。
可愛く酔えれば良かったんだろうけど
私の酔っぱらいぶりときたら
かなり厄介だったようで
ケンカ売りまくりだったとか……(笑)
特にキヨタには文句ばかり言って
無茶振りしたり絡んでたらしい。。。
あの時の記憶は
ほとんど覚えていないから
またそれが怖い。
今日は、ちゃんとしなきゃと心に誓う。
『大丈夫、大丈夫(笑)あれは、日本酒のせい!
今日は、ちゃんと大人飲みしますぅ~』
そう言うとキヨタは
「へいへい。てか、マジ、こいつさー」
と先月のことをまた説明し出した。
聞こえないふりをして
リンリンに話かける。
『そういえばリンリン、昨日帰ってきたの?』
「ううん、今日の朝!」
しばらくリンリンの出張話を聞いていた。