眠り姫に恋したのは年下御曹司

ガチャ。


鍵を開けて、誰もいない一人暮らしの部屋に入っていく。


真っ暗な部屋に寂しく思う事もあるが、慣れたように明かりを点けた。


鍵をテーブルに置き、ベッドに体を投げ出した。


揺れるベッドに目を閉じた。


今日も一日疲れた。



「はぁ、疲れた。風呂入らないと。」



静かな部屋に独り言が呟かれた。


閉じていた目を開けて、ベッドから起き上がり、長い髪を縛っていたゴムを外しながら風呂場へ向かう。


長い髪を軽く掻き揚げて鏡を覗き込む。



「美容院の予約しないと。」



茶髪に染めた髪の生え際が黒くなってきている。


忙しさに手入れもお粗末になっていたのが見てわかる。


恋愛している時には気に掛ける事も、最近は仕事ばかりの生活で女子力も落ちているのは自分でもわかっている。



「彼氏か。」



結婚の前に彼氏ぐらいは欲しいモノだ。



「お見合いか。」



鏡の中の自分に話し掛けていた。